虚偽診断書等作成罪
医師が、公務所に提出する診断書、検案書、または死亡証書に虚偽の記載をした場合、「虚偽診断書等作成罪」が成立します。
- 主体: この犯罪は医師のみが犯すことができる「真正身分犯」です。公務員である医師が虚偽の記載をした場合は、「虚偽公文書作成等罪」が成立し、虚偽診断書等作成罪は成立しません。
- 対象となる文書: 診断書、検案書、死亡証書が該当します。特に死亡診断書は、戸籍を抹消する際に市町村(公務所)へ提出されるため、この罪の対象となります。
- 刑罰: 3年以下の禁錮または30万円以下の罰金が科せられます。
- 虚偽の記載: 客観的事実に反する一切の記載(病状、死因、死亡日時など)を指します。医師が真実に反すると認識しながら虚偽の記載をした場合に成立する故意犯であり、誤って記載した場合には成立しません。
虚偽の死亡診断書における他の可能性
医師以外の者が虚偽の死亡診断書を作成したり、既存の診断書を改変したりする行為は、虚偽診断書等作成罪とは異なる罪に問われる可能性があります。
- 医師でない者が医師の名義を偽って死亡診断書を作成した場合: 「有印私文書偽造罪」が成立する可能性があります。法定刑は3か月から5年以下の懲役です。架空の医師名義や、自分の名前に医師の肩書をつけて作成した場合も同様です。
- 作成者以外が正式に作成された死亡診断書の内容を改変した場合: 「有印私文書変造罪」が成立します。法定刑は3か月から5年以下の懲役です。
- 虚偽の死亡診断書を行使した場合: 虚偽の記載がされた診断書を行使した者は、虚偽の記載をした者と同一の刑に処せられます。行使とは、虚偽診断書を他人に交付、提示するなどして、その閲覧に供し、内容を認識させたり認識しうる状態に置いたりすることを指します。
詐欺罪の可能性
虚偽の死亡診断書を用いて、保険金などをだまし取った場合には、詐欺罪が成立する可能性もあります。詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。