詐欺罪の客体:何をだまし取るのか?

詐欺罪の対象、すなわち客体は、「財物」と「財産上の利益」の2つに大別されます。

  • 財物(刑法246条1項)
    • 現金、貴金属、不動産など、経済的な価値がある物全般を指します。窃盗罪などとは異なり、不動産も詐欺罪の客体に含まれるのが特徴です。
    • 具体例:オレオレ詐欺で現金をだまし取る、価値のない絵画を著名な画家の作品だと偽って高値で売りつけるなど。
  • 財産上の利益(刑法246条2項)
    • 財物以外の、財産的な価値を持つ利益のことです。借金の支払いを免除させたり、サービスの提供を不法に受けたりする場合がこれにあたります。
    • 具体例:無銭飲食や無賃乗車をする、借金の返済を免れるために債権者を騙すなど。

詐欺罪の実行行為:どのように騙すのか?

詐欺罪の実行行為は、以下の①から④までの一連の因果関係でつながった流れで成立します。

  1. ① 欺罔(ぎもう)行為
    • 相手をだます行為のことです。取引の重要な事実について、嘘を言ったり(作為)、伝えるべき真実を黙っていたり(不作為)することが含まれます。
    • 具体例:「必ず儲かる」と嘘の投資話を持ちかける、商品の重大な欠陥を隠して販売するなど。
  2. ② 相手方の錯誤
    • 欺罔行為によって、被害者が事実と異なる認識を持つことです。つまり、騙されて勘違いしている状態を指します。
  3. ③ 錯誤に基づく交付行為
    • 被害者が錯誤に陥った結果、自らの意思で財産を差し出す行為です。脅されて無理やり奪われる強盗罪とは異なり、被害者自身が財産を渡す点が重要です。
  4. ④ 財産・利益の移転
    • 交付行為によって、財物や財産上の利益が犯人または第三者に移転することです。

これら①〜④がすべて因果関係で結びついている必要があります。例えば、だます行為はあったものの、被害者が同情してお金を渡した場合など、因果関係が断絶すると詐欺罪は成立しません。


詐欺罪の既遂時期:いつ犯罪が完成するのか?

詐欺罪が完成する既遂時期は、財物または財産上の利益が、犯人または第三者に移転した時点です。

  • 財物の場合:犯人などが財物の占有を取得した(事実上支配下に置いた)時点で既遂となります。例えば、だまし取った現金を受け取った瞬間です。
  • 財産上の利益の場合利益が確定的に得られた時点で既遂となります。例えば、債務免除の意思表示を相手方がした時などが考えられます。

もし、だます行為は行ったものの、相手が嘘に気づいたり、警察の介入があったりして財産の移転が完了しなかった場合は、詐欺未遂罪(刑法250条)が成立します。

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