再抗弁とは、被告が主張した「抗弁」の効果を、原告が打ち消すために主張する新たな事実のことです。

これを理解するためには、まず民事訴訟における基本的な主張の流れを知る必要があります。

  1. 請求原因(原告の主張)
    • 原告が、自らの権利(請求)が認められるべき理由となる事実を主張します。
    • 例:「私は被告に100万円を貸しました。だから返してください。」
  2. 抗弁(被告の反論)
    • 被告が、原告の主張する事実(請求原因)を認めた上で、その権利の発生を妨げたり、消滅させたりする別の事実を主張します。
    • 例:「お金を借りたことは認めます。しかし、最後の返済から10年以上経っており、時効で消滅しています。」
  3. 再抗弁(原告の再反論)
    • 原告が、被告の主張する抗弁の事実を認めた上で、その抗弁の効果を打ち消すためのさらに別の新しい事実を主張します。
    • 例:「時効期間が経過したことは認めます。しかし、あなたは3年前に『必ず返します』と言って債務を承認しました。これにより時効は更新(リセット)されています。」

この例で、原告が主張した「債務の承認があった」という事実が「再抗弁の事実」にあたります。


具体例で見る「請求」「抗弁」「再抗弁」の流れ

貸金返還請求訴訟を例に、主張の流れを整理します。

段階当事者主張の内容法的な意味
原告「被告に100万円を貸した」請求原因
被告「借りたが、既に時効だ(消滅時効の援用)」抗弁
原告「時効期間中に、被告は支払いを約束した(債務の承認)」再抗弁
被告「支払いを約束した覚えはない」再抗弁の否認

もし被告が④のように「支払いを約束した覚えはない」と主張した場合、原告は「被告が債務を承認した」という再抗弁の事実を証拠(念書、録音など)によって証明する必要が出てきます。これを主張立証責任と言い、再抗弁の事実については、それを主張する原告側が証明する責任を負います。


「否認」「抗弁」「再抗弁」の違いのまとめ

これらは、相手の主張に対してどのように反論するか、という点で異なります。

  • 否認(ひにん)
    • 相手が主張する事実そのものを「そんな事実はない」と単純に否定すること。
    • 例:「そもそも、あなたからお金を借りた事実はありません。」
  • 抗弁(こうべん)
    • 相手が主張する事実は「その通りです」と認めつつ、「しかし、別の事実があるのであなたの権利は認められません」と反論すること。
    • 例:「お金を借りたことは認めますが、しかし、もう全額返済しました。」(これを弁済の抗弁といいます)
  • 再抗弁(さいこうべん)
    • 相手の抗弁事実は「その通りです」と認めつつ、「しかし、さらに別の事実があるので、あなたの抗弁は無効です」と再反論すること。
    • 例:「時効が成立していることは認めますが、しかし、あなたは時効の利益を放棄すると言いました。」(これを時効利益の放棄の再抗弁といいます)

このように、「再抗弁の事実」とは、訴訟において被告の反論(抗弁)を無力化するために、原告が後から付け加える「切り札」のような主張と言うことができます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA