金銭債権を現物出資する手法は、会社への貸付金や役員の未払い報酬などを現金の代わりに会社の資本金に振り替える方法です。この手法は「デット・エクイティ・スワップ(DES)」とも呼ばれ、会社の債務を減少させ、資本を増加させることで、債務超過の解消や自己資本比率の向上、企業価値の向上といったメリットがあります。
金銭債権を現物出資するための主な要件と手続きは以下の通りです。

現物出資の対象となる金銭債権

譲渡可能で、貸借対照表に資産として計上できるもの(金銭で評価できるもの)である必要があります
具体的には、会社に対する貸付金や役員の未払報酬債権などが該当します。
弁済期が到来していること、または弁済期が未到来であっても期限の利益を放棄していることが求められます。

必要な書類と情報

金銭債権の金額や債権者名が記載された総勘定元帳などの会計帳簿を登記申請の際に提出する必要があります。複数の金銭債権を出資する場合は、各債権について記載があることが必要です。
定款に、金銭以外の財産を出資する者の氏名または名称、当該財産とその価額、および割り当てる株式の数を記載する必要があります。

評価方法と検査役の検査

現物出資する財産の評価方法について、登記上の明確な規定はありませんが、不動産の場合は鑑定評価額を下回ることはできません。
原則として、裁判所が選任する検査役による財産の価額調査と証明が必要です

ただし、以下のいずれかの場合は、検査役の検査が不要となります。
現物出資する財産の総額が500万円以下の場合。
引受人に割り当てる株式の総数が、直前の発行済株式総数の10分の1以下である場合。
現物出資する資産が市場価格のある有価証券であり、記録された価額が市場価格以下の場合。
弁護士、公認会計士、または税理士などの専門家によって、現物出資財産の価額が相当であると証明されている場合(不動産に関しては不動産鑑定士の鑑定評価が必要)。

メリット

現金がなくても資本金を増やせるため、資金繰りに影響を与えずに増資が可能です
会社の債務を減らし、自己資本を強化することで、財務体質を改善できます。
企業価値の向上につながり、金融機関からの評価や信用力が高まる可能性があります。
DESの場合、貸付金がなくなるため、将来的な返済の必要がなくなります。

デメリット・注意点

評価手続きや検査役の検査が必要な場合があり、手続きが煩雑になることがあります
現物出資された財産に対し、評価額と実際の価値に差が生じる可能性があります。
現物出資を行った出資者には、資産の譲渡とみなされ、所得税が課税される場合があります。
場合によっては消費税も課税されることがあります。
現物出資によって資本金が増えても、手元の現金が増えるわけではないため、運転資金が不足しないよう資金計画が必要です
DESにより債権者に株式を与えるため、債権者が経営に関与することになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA