子会社株式譲渡とは、親会社が保有する子会社の株式を第三者に売却することです。これはM&Aの手法の一つであり、親会社の経営資源の再配置や財務体質の改善を目的として行われることがあります。

子会社株式譲渡の要件

親会社が保有する子会社株式の帳簿価額が親会社の総資産額の5分の1を超える場合
株式譲渡によって、親会社が子会社の議決権の過半数を保有しなくなる場合
これら二つの条件を「双方満たす」子会社株式譲渡の場合には、株主総会の特別決議が必要となります。これは、子会社売却が実質的に親会社の一事業を譲渡するのと同様の効果をもたらすためであり、事業譲渡と同様に重要な意思決定とみなされるためです。
特別決議が必要となるケースでは、効力発生日の前日までに株主総会を開催し、特別決議による承認を受ける必要があります。

子会社株式譲渡の効果

子会社株式譲渡には、親会社と子会社双方にとって様々な効果があります。

親会社側の効果

売却益の獲得:子会社の売却によって得た利益を親会社の事業に投じて、事業規模の拡大や経営再建を図ることができます。
経営資源の集中:不採算事業や親会社とのシナジー効果(相乗効果)が薄い子会社を切り離すことで、親会社の中核事業に経営資源を集中させ、企業全体の効率性を高めることが期待できます。
財務体質の改善・リスク回避:赤字や低収益の子会社を手放すことで、グループ全体の収益性を高め、親会社の財務負担を軽減し、経営リスクを最小限に抑えることができます。
組織再編の実施:子会社との間で事業や資産、負債などを移動させる組織再編を行うことが可能であり、これにより税金の発生を抑えることもできます。
法人税の発生:子会社売却によって親会社に利益が生じた場合、法人税が課税されます。ただし、赤字決算のタイミングで売却を行うことで、節税につなげられる可能性もあります。

子会社側の効果

シナジー効果の期待:子会社が売却先企業の傘下に入ることで、新たな買い手企業との間でシナジー効果が期待でき、事業成長や競争力向上につながる可能性があります。
新たな経営体制への移行:子会社は新たな株主の方針に沿った経営体制へ移行することで、新しい事業機会や成長戦略を得ることができます。

子会社株式譲渡の手続きの流れ

一般的な子会社株式譲渡の手続きは以下の通りです。
M&Aの準備:譲渡の目的やスケジュールを明確にし、戦略を策定します。
デューデリジェンスの実施:買い手企業が子会社の経営状況、財務状況、法的リスクなどを詳細に調査します。
株式譲渡承認の請求:親会社が子会社に対して第三者への株式譲渡の承認を請求します。
臨時取締役会の開催:親会社が取締役会設置会社の場合、臨時株主総会の招集決議のために開催します。
臨時株主総会の招集通知と承認:必要に応じて株主総会を招集し、特別決議による承認を得ます。
株式譲渡契約の締結:親会社と譲渡先の間で株式譲渡の対価や支払期日、効力発生日などを定めた契約を締結します。
決済・株式の交付:株式の対価が支払われ、株券が発行されている場合は株券が交付されます。
株主名簿の書き換え請求:M&Aの効力を正式に認めるために株主名簿を書き換えます。
子会社株式譲渡は、事業の一部だけを切り離す事業譲渡とは異なり、子会社全体が譲渡の対象となるM&Aの手法です。

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