最高裁の判例(昭和44年7月25日)では、賃借人が賃貸人の承諾を得て建物の屋上に建物を増築した場合において、増築部分が既存の建物と構造上、利用上独立性を有しないときは、増築部分は既存の建物に付合し、その所有権は既存の建物の所有者に帰属すると判断されました。
民法242条1では、不動産の所有者は、その不動産に付合した物の所有権を取得すると規定されています。ただし、権原によって附属させた他人の権利は妨げられません。
付合とは
付合は、添付の一種で、2つ以上の物が結合することを意味し、不動産と動産、または動産同士で起こりえます。付合によって生じた物は、付合物または合成物と呼ばれます。民法では、付合について242条以下に規定があります。
不動産に動産が付合した場合、原則として不動産の所有者がその動産の所有者となります。ただし、正当な権原(地上権、賃借権など)に基づいて動産が取り付けられた場合は、この限りではありません。
付合の例
土地に苗や木を植えた場合。
建物に増築した場合。
添付
添付は強行規定であり、添付が生じた場合の旧所有者からの復旧請求は原則として認められません。分離すると経済的に不適当になるほど結合して、1つの物と認められる状態が付合であると理解できます。
強い付合と弱い付合
強い付合:増築部分が建物の構成部分となり、独立性を失っている状態。この場合、増築部分の所有権は建物の所有者に帰属します。
弱い付合:増築部分が建物の一部分となりながらも、完全には独立性を失っていない状態。
賃借人が増築した場合
賃借人が建物を増築した場合、増築部分が独立性を有し、区分所有権の対象となれば、特約がない限り、増築部分の所有権は賃借人に帰属します。しかし、増築部分が建物の構成部分となっている場合(強い付合)、賃貸人の承諾を得て増築した場合でも、増築部分の所有権は建物の所有者(賃貸人)に帰属します。
ポイント
増築部分が建物の構成部分として独立性を有するかどうかが重要な判断基準となります。
増築について賃貸人の承諾を得ているかどうかは、付合の成否には影響しません。
ただし、増築部分が区分所有権の対象となる場合は、賃借人に所有権が帰属する場合があります。
補足
建物の増改築は一般的に強い付合とされています。 賃借人が増改築を行った場合、原則として増改築部分は賃貸人の所有物となります。ただし、賃借人が増築した部分が構造上・取引上の独立性を有する場合は、賃借人の所有となることもあります。