判例(最判S53.3.6)では、10年の取得時効の要件としての占有者の善意・無過失の存否については、占有開始の時点においてこれを判定すべきものとする民法162条2項の規定は、時効期間を通じて占有主体に変更がなく同一人により継続された占有が主張される場合について適用されるだけでなく、占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張される場合についてもまた適用されるとしています
つまり、_最初の占有者(前主)につき、その占有開始の時点において善意・無過失であれば足りる_と解釈されています。
例えば、Aが善意かつ無過失で占有を開始し、その後、Bが悪意でAから土地を譲り受けた場合でも、Aの占有開始時に善意無過失であれば、BはAの占有期間と善意無過失を引き継ぎ、10年の取得時効を主張できます。
ただし、前の占有者の占有を合わせて主張する場合には、その瑕疵(かし)も承継することに注意が必要です。例えば、前主が悪意なら自分も悪意となり、前主が善意・無過失なら、自分も善意・無過失であると主張できます。

取得時効とは

取得時効とは、①所有の意思をもって②物を一定期間占有したとき、その物の所有権を取得することができる制度です。

  • 占有者が、占有を開始した時点において自己の物であると信じ、そう信じるにつき無過失(善意かつ無過失)であれば、10年間の時効期間の経過により所有権を取得できます。これを短期取得時効といいます。
  • 占有を開始した時点において自己の物でないことを知り、または過失によって知らない場合(悪意または有過失の場合)には、20年間の時効期間の経過により所有権を取得することができ、これを長期取得時効といいます。

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