附款とは、法律行為や行政行為から生じる効果を制限するために、主に「行政庁」が主たる行​政行為に付加する定めを指します。これは、行政行為が一律的・画一的になるのを防ぎ、個別​の事情や公共の利益に応じて柔軟に対応するために用いられます。

附款の種類

附款には主に以下の5種類があります:

  • 条件: 行政行為の効力の発生(停止条件)または消滅(解除条件)を、不確実な将来の事実にかからせるものです。
    • 停止条件: 条件が成就すると効力が発生します。例:防火設備の設置が完了した場合にのみ営業許可を与える。
    • 解除条件: 条件が成就すると効力が消滅します。例:3年間利用しなかった場合は土地利用許可を取り消す。
  • 期限: 行政行為の効力の発生(始期)または消滅(終期)を、確実に到来する将来の事実にかからせるものです。
    • 始期: 効力が発生する時点を示します。例:来月から許可が有効となる。
    • 終期: 効力が消滅する時点を示します。例:許可の有効期限が1年間のみ。
  • 負担: 行政行為の相手方に、行政行為の主たる効果に加えて特定の義務(作為、不作為、受忍、給付など)を課すものです。交通規則を維持するための道路使用料の納付などが例として挙げられます。負担の不履行があっても、これにより行政行為が当然に無効になるわけではなく、行政庁は撤回などの措置を取ることができます。
  • 撤回権の留保: 行政機関が、特定の条件が満たされない場合や事情が変更した場合に、後からその行政行為を取り消す権利をあらかじめ宣言しておくものです。
  • 法律効果の一部除外: 法令が一般にその行政行為に与える効果の一部を、特定の条件のもとで除外するものです。

附款の法的拘束力と限界

附款は、行政行為に付加された従たる意思表示であり、それ自体に行政行為として意味を持つものではありませんが、主たる行政行為の法律効果を柔軟に調整する重要な役割を果たします。附款は、法律に定めのある場合のほか、行政庁に裁量の余地がある行政行為について、個別の事情に応じて付加することができます。しかし、法令の規定に基づいて法的な効果が発生し裁量の余地がない「準法律行為的行政行為」には附款を付けることはできません。

附款の適法性には限界があり、以下の点に注意が必要です:

  • 附款は法律の趣旨に反してはならず、比例原則が適用されます。
  • 法令の課す義務を超えた義務を課す場合には、法律の根拠が必要となります。
  • 行政行為の目的に照らして必要かつ合理的な範囲内でなければなりません。

附款の処分性

附款は、それ自体が相手方の権利義務を直接左右する法的効果を持つため、処分性が認められることがあります。つまり、附款も行政行為の一種とみなされ、行政訴訟の対象となる可能性があります。

基本的には、主たる行政行為と附款が分離可能であれば、附款のみを取り消し訴訟の対象とすることができます。実務上も、附款のみの取消訴訟が認められる場合が多いです。しかし、附款がなければ行政行為が実質的に意味を持たないなど、行政行為と附款が一体不可分である場合には、附款のみの取消訴訟は認められず、行政行為全体の取消訴訟を提起すべきとされています。

例えば、デモ行進の許可に付された進路変更の指定が附款に当たる場合、その変更が正当化されるのは、当日表通りの該当部分が通行不能であるなど特段の事情がある場合に限定され、それ以外は違法となる可能性があります。

このように、附款は行政の裁量を柔軟に行使するための手段ですが、同時にその適法性や処分性が厳しく問われる性質を持っています。

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