「連結点の確定(れんけつてんのかくてい)」とは、国際私法において、どの国の法律を適用するか(準拠法)を決めるための具体的な基準(連結点)を特定するプロセスを指します。
渉外的な法律関係(例:国籍の違う者同士の結婚、海外での交通事故など)にどの国の法律を適用するかを決定する際、その法律関係と最も密接な関係を持つ国を客観的に定める必要があります。この「結びつき」の目印となる事実的な要素が「連結点」であり、それを具体的に確定させる手続きが「連結点の確定」です。
連結点の確定のプロセス
準拠法を決定するプロセスは、通常、以下の段階を踏みます。「連結点の確定」はこの中の重要なステップです。
- 法律関係の性質決定: まず、問題となっている事案が、契約、不法行為、婚姻、相続など、どの法律分野に属するのかを判断します。
- 抵触規定の選択: 次に、自国の国際私法(日本では「法の適用に関する通則法」)の中から、その法律関係に対応する条文(抵触規定)を探し出します。この条文には、どの「連結点」を使用するかが定められています。
- 連結点の確定: 選択した抵触規定に基づき、事案の具体的な事実に当てはめて連結点を特定します。例えば、「当事者の国籍」が連結点とされていれば、その人物の具体的な国籍がどこであるかを確定します。
- 準拠法の特定: 連結点が確定されることで、適用すべき国の法律(準拠法)が最終的に特定されます。
連結点の主な種類
どのような事実が連結点として採用されるかは、法律関係の性質によって異なります。以下に代表的な例を挙げます。
| 連結点の種類 | 説明 | 主な適用対象の例 |
| 本国法 | 当事者の国籍がある国の法律 | 婚姻の成立要件、相続 |
| 常居所地法 | 当事者が通常居住している地の法律 | 離婚、親子関係 |
| 行為地法 | 法律行為(契約の締結など)や不法行為が行われた地の法律 | 契約の方式、不法行為 |
| 物の所在地法 | 不動産や動産が存在する地の法律 | 物権 |
| 当事者が選択した法 | 契約の当事者が合意によって選んだ法律(当事者自治の原則) | 契約 |
| 法廷地法 | 裁判が行われている地の法律 | 手続きに関する事項 |
連結点の確定における課題
連結点の確定は、常に簡単に行えるわけではなく、以下のような複雑な問題が生じることがあります。
- 重国籍: 連結点が「本国法」である場合に、当事者が複数の国籍を持っていると、どの国の法律を適用すべきかが問題となります。日本の通則法では、常居所がある国の国籍を優先するなどの解決ルールを定めています。
- 無国籍: 当事者がいずれの国の国籍も有しない場合、本国法を基準にすることができません。この場合は、常居所地法などが代わりに用いられます。
- 連結点の可変性(時点の問題): 住所や物の所在地のように、連結点が時間と共に変化することがあります。そのため、どの時点(例:契約時、事故時、提訴時)の連結点を基準にするかを決める必要があります。
- 反致(はんち): 日本の国際私法がA国の法律を準拠法として指定したところ、そのA国の国際私法が逆に日本法や第三国の法律を指定し返してくる場合があります。このような複雑な問題をどう扱うかという課題です。
このように、「連結点の確定」は、国際的な法律問題を解決するための第一歩であり、準拠法を正しく導き出すための不可欠なプロセスです。