留置権の要件
留置権は、民法295条に規定されており、以下の要件を満たす場合に成立します。
他人の物を占有していること。この「他人」は、債務者に限らず、第三者でも構いません。
その物に関して生じた債権を有すること。これは、債権と物との間に牽連性があることを意味します。例えば、物の修理代金債権や売買代金債権がこれに当たります。
債権が弁済期にあること。
占有が不法行為によって始まったものでないこと。
留置権の対抗力
留置権は、成立すると、債務者だけでなく第三者にも対抗できます。
留置権の対抗要件は、民法177条に関わらず「占有」であるとされています。
留置権は、目的物を所持・排他的に支配している状況であれば、登記がなくても権利を主張できます。
留置権は、占有を失うと消滅します。
不動産の場合、競売手続きは進みますが、買受人に留置権を対抗することができます。
牽連性の意味
債権とその物の間の関係性やつながりを指します。つまり、債権がその物自体から発生していることが要件となります。
牽連性が認められるケース:
物自体から債権が発生した場合:例えば、物に対する必要費や有益費の償還請求権。
物の返還請求権と同一の法律関係または事実関係から債権が発生した場合:例えば、売買契約における物の引渡請求と代金債権、物の修理契約における物の返還請求と修理代金債権。
牽連性の有無が問題となる事例:
二重譲渡の場合:AがBに土地を売却し引き渡したが、Bが登記を備えないうちにAがCにその土地を売却し、Cが登記を備えた場合。CがBに対して土地の明渡を請求してきた際、BがAに対する損害賠償請求権を根拠にCへの留置権を主張できるか。判例・通説では、この損害賠償請求権と土地との牽連性が否定される。
建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することはできない。
商事留置権: 商人間の留置権(商法521条)では、牽連性は要求されていません。