令和元・4・5年予備試験

〔1 物権的請求権の根拠と要件〕

所有権は、物の全面的支配権であり、所有者はその権能として物の返還を請求し得る(206条)。
したがって、所有権に基づく返還請求が成立するためには、
(1)原告が当該不動産の所有者であること、
(2)被告がその不動産を占有していること
が必要である。

〔2 あてはめ〕

本件土地の所有権は原告に帰属し、他方で被告は同土地上に建物を建てて占有しているから、原告は原則として被告に対し建物収去・土地明渡請求を行うことができる。

〔3 被告側の抗弁の検討〕

しかし、物権的請求権は絶対的効力を有するとはいえ、

  • 登記の欠缺と第三者(177条)
  • 法定地上権の成否(388条)
  • 取得時効の成否(162条)
  • 賃貸借等の占有権原の有無
    などにより、返還請求の可否に影響が生じ得る。

以下、被告側の主張について検討する。

■(1)法定地上権(抵当権設定後の建物所有)

抵当権設定当時に、土地の所有者が自己の土地上に建物を所有していた場合には、抵当権実行による土地と建物の分離を避けるため、土地の買受人は建物所有者に対し法定地上権を承継させる(388条)。
したがって、
①抵当権設定時点で建物が存在していたか
②土地と建物の所有者が同一か
を検討し、法定地上権が成立する場合には、土地明渡請求は認められない。

■(2)177条の第三者(対抗関係)

177条の「第三者」とは、登記の具備を欠く者から権利取得した者であって、自己のために登記による権利保護を受けるべき利害関係人をいう。
よって、
①登記の欠缺を主張する相手方が177条の「第三者」に当たるか
②自己のための登記を備えたか
を検討し、第三者に該当すれば、返還請求は制限される。

■(3)取得時効(162条)

不動産の所有権を平穏・公然に一定期間占有した者は、
①善意無過失の10年
②悪意の20年
により所有権を取得する。
時効取得が認められれば、被告は所有者となり、返還請求は排斥される。

■(4)賃貸借等の占有権原

被告に占有権原(賃貸借、使用貸借)がある場合、所有権に基づく返還請求は、その権原の消滅(期間満了・解除等)を要する。
解除・対抗要件(借地借家法10条・31条等)を整理して判断する。

▼【総合結論テンプレ】

以上より、原告は本件土地の所有者であり、被告が占有している以上、原則として原告は被告に対し建物収去・土地明渡請求をすることができる。
もっとも、被告が主張する〇〇(法定地上権/177条/時効取得など)が成立するか否かを検討し、成立する場合には原告の請求は制限されることになる。

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