平成28・29・令和2・5予備試験
Ⅰ 無効・取消しの区別(総論)
1 無効
無効とは、法律行為が初めから効力を生じないことであり、
誰でもいつでも主張でき、追認による確定もない(90条、93条本文等)。
2 取消し
取消しとは、法律行為が一応有効に成立するが、取消権行使により遡って無効となる(121条本文)。
取消し前の状態では、取消権者以外は有効を前提とする。
(※必要なときだけ書く)
Ⅱ 個別論点テンプレ
A 錯誤(95条)【無効】
1 要件
①意思表示に要素の錯誤
②表意者に重過失がないこと(但し相手方が悪意又は重過失なら主張可)
2 効果
法律行為は無効。
→無効なので、対抗関係は 177条 の問題へ移る(不動産の場合)。
B 詐欺(96条1項)【取消し】
1 詐欺の要件
①相手方又は第三者の欺罔行為
②それによる誤信
③誤信に基づく意思表示
2 効果
取消し得る。
3 第三者保護(96条3項)
取消しは善意無過失の第三者に対抗できない。
→第三者の範囲は「取消し前の当事者双方の行為に基づく新たな利害関係人」。
C 脅迫(96条2項)【取消し】
要件
①害悪の告知
②畏怖
③畏怖に基づく意思表示
効果
取消し得る。
→第三者保護は「善意者」で足り、無過失は不要(判例)。
D 心裡留保(93条)【無効】
原則
真意でないと相手方が知り又は知り得たときは無効(93条但書)。
→相手方が善意無過失なら有効(93条本文)。
E 二者間虚偽表示(94条1項)【無効】
1 要件
①通謀虚偽表示
②虚偽の外観作出
2 効果(当事者間)
無効。
3 第三者保護(94条2項)
善意の第三者に対抗できない。
→取消しではない点に注意。
Ⅲ 取消しの効果(121条)テンプレ
1 遡及効
取消しの効果は契約時に遡り効果が消滅する(121条本文)。
2 既に利害関係を有する第三者との関係
- 詐欺・脅迫 → 96条3項
- 行為能力 → 20条
- その他 → 原則121条により遡及するが、二重譲渡等の場合は 177条の対抗関係 が処理枠組み
Ⅳ 第三者との対抗関係テンプレ
(不動産の場合の鉄板記述)
1 無効の場合
無効は絶対無効であり、原則誰にでも主張可能。
もっとも、不動産については、
二重譲渡等の対抗問題は177条により決せられるとするのが判例・通説。
2 取消しの場合
取消しの遡及効は第三者には対抗できない場合がある。
①詐欺・脅迫 → 96条3項(善意 or 善意無過失)
②一般的には177条の優劣で対抗関係を決する。