株主総会決議取消の訴えとは、株主総会の決議の方法に法的な不備(瑕疵)があった場合に、その決議の効力をなくす(取り消す)ことを裁判所に求める法的な手続きです。
会社法第831条に定められており、会社の意思決定の公正さを保つための重要な制度です。

どんな時に訴えを起こせるか? (取消事由)

決議の取り消しを求めることができるのは、主に以下のようなケースです。
招集手続きや決議の方法が法律や定款に違反している、または著しく不公正な場合
一部の株主に招集通知を送らなかった。
招集通知に記載のない事項を決議した。
株主からの質問に対し、取締役が正当な理由なく説明を拒んだ。
議決権の数を誤って計算した。
決議の内容が定款に違反している場合
定款で取締役の員数を5名以内と定めているのに、6人目の取締役を選任する決議をした。
特別な利害関係を持つ株主が議決権を行使し、それによって著しく不当な決議が成立した場合
ある取締役の報酬を不当に引き上げる決議で、その取締役自身が株主として賛成票を投じたことで可決された。

誰が、いつまでに訴えを起こせるか?

この訴えには、厳格なルールが定められています。
誰が? (提訴権者):
株主
取締役、監査役、執行役
清算人 など
いつまでに? (提訴期間):
決議の日から3か月以内
この期間を過ぎると、原則として訴えを起こすことはできません。

裁判で決議が取り消されるとどうなるか?

裁判所が訴えを認める判決を下し、その判決が確定すると、決議は初めからなかったことになります。
この判決の効力は対世効(たいせいこう)といい、訴訟の当事者(訴えた株主や会社)だけでなく、他のすべての株主や取引先など第三者に対しても及びます。

裁量棄却について

ただし、違反の内容が非常に軽微で、決議の結果に影響を及ぼさなかったと裁判所が判断した場合には、訴えが退けられることがあります。これを裁量棄却といいます。

他の訴えとの違い

株主総会の決議の効力を争う訴えには、他に「無効確認」と「不存在確認」があり、不備のレベルによって使い分けられます。

種類瑕疵(不備)のレベル提訴期間具体例
取消の訴え手続き上の違反など(比較的軽微)3か月以内一部の株主への招集通知漏れ
無効確認の訴え決議内容の法令違反(重大)期間制限なし取締役でない者を代表取締役に選任
不存在確認の訴え決議が存在しない(極めて重大)期間制限なしそもそも総会を開催していない

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