既判力は、確定判決が持つ効力の一種で、判決内容について当事者や裁判所を拘束し、蒸し返しを許さない効力のことです。

既判力の及ぶ範囲は、主に以下の3つの側面から考えることができます。
人的範囲:誰に既判力が及ぶのか?
客観的範囲:何に既判力が及ぶのか?
時的範囲:いつの時点の事項について既判力が及ぶのか?

1. 人的範囲(誰に及ぶか)

原則として、既判力は訴訟の当事者のみに及びます。しかし、民事訴訟法115条には、例外的に第三者にも既判力が拡張される場合が規定されています。
当事者
当事者が他人のために原告または被告となった場合のその他人
上記の当事者の口頭弁論終結後の承継人
上記に掲げる者のために請求の目的物を所持する者

2. 客観的範囲(何に及ぶか)

既判力は、判決の主文に包含される事項についてのみ及びます。 これは、原告の請求に対する結論的な判断、つまり訴訟物とされています。判決理由中の判断には、原則として既判力は及びません。ただし、被告が訴訟で主張した相殺については、その判断に既判力が生じます(民事訴訟法114条2項)。

3. 時的範囲(いつの時点の事項に及ぶか)

既判力の基準時は、口頭弁論終結時です。つまり、口頭弁論終結時における権利・法律関係の存否が確定されます。したがって、口頭弁論終結前に発生していた事実については、既判力によって遮断され、後日別の裁判で主張することができなくなります。しかし、口頭弁論終結後に発生した事実は、既判力に抵触せず、別の裁判で主張することができます。

既判力の作用

既判力には、以下の2つの作用があります。
消極的作用:当事者は、後日の訴訟で、訴訟物たる権利または法律関係の存否について争うことができない。
積極的作用:裁判所は、後日の訴訟で、訴訟物たる権利または法律関係の存否について矛盾した判断をすることができない

既判力が発生するための要件

既判力は、訴訟手続きが適法であり、かつ当事者の手続き法上の権利が適切に保障されていた場合に発生します。この要件が満たされるとき、確定判決の内容が不当であっても、もはやその内容の当否を訴訟上で争うことはできません。これは、紛争の蒸し返しを防ぎ、当事者に手続き的な機会が十分に保障されていたことに基づいています。

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