最高裁は、「所有者以外の第三者が抵当不動産を不法占有することにより、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができる。そして、抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者についても、その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができるものというべきである。」と判示しました。
抵当権者は、抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権限の設定を受けてこれを占有する者に対しても、一定の要件を満たす場合に抵当権に基づく妨害排除を請求できます

最高裁が示した要件:

①その占有権原の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められること
②その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があること
③抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合

    妨害排除請求権とは:

    物に対する権限の行使を妨げている第三者がいる場合に、物に対する権利を根拠として妨害の排除を求める権利
    物に対する権限は、①使用する権利、②利用させて収益を得る権利、③処分する権利があり、抵当権は③の処分に係る交換価値について権利が生じる

    抵当権に基づく妨害排除請求権を行使するにあたって

    抵当不動産の所有者が、抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持・管理することが期待できない場合には、抵当権者は、抵当不動産の占有者に対して直接自己への引渡しを請求できます。抵当権者は、抵当不動産に対する第三者の占有により賃料相当額の損害を被るものではないため、賃料額相当の損害賠償を求めることはできません。

    参考判例

    • 最高裁平成11年11月24日判決
    • 最高裁平成17年3月10日判決

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA