〔第1問〕
 本問は、夫婦間の日常家事債務の連帯責任及び未成年の子の財産管理の準拠法の決定と適用を問うものである。
 設問1は、夫婦間の日常家事債務の連帯責任の法律関係の性質決定を問うものである。これに関しては、法の適用に関する通則法(以下「通則法」という。)第25条説と第26条説との対立がある。いずれの見解をとるか、その根拠を示した上で準拠法を決定し、条文を丁寧に適用し、結論を示す必要がある。
 設問2⑴は、子の財産に対する父母の財産管理権に関する問題である。親子間の法律関係の準拠法に関する通則法第32条によることを導き、問いに則して答えなければならない。
 設問2⑵は、父母の財産管理権が及ばない未成年の子の財産管理の問題を国際私法上どのように扱うかを問うものである。甲国法を準拠法とする場合には、甲国法上の財産後見制度が日本法に不知の法制度であるため、わが国手続法でいかに実現するかも問題となる。

〔第2問〕
 本問は、渉外契約の一方当事者につき法人格否認が問題となる事案を素材として、国際私法及び国際民事訴訟法の基礎的理解とその応用力を問うものである。
 設問1は、契約当事者とその親会社とを共同被告とする訴えにつきわが国の裁判所が国際裁判管轄権を有するか否かを問う問題である。「手続は法廷地法による」との法原則の下でわが国の民事訴訟法第3条の2以下の諸規定がどのように適用されるかを適切に説明することが求められる。
 設問2は、親会社に対して契約責任が追及される場合の準拠法が何かを問う問題である。契約当事者の法人格が否認されるか否かという論点と親会社が当該債務の履行責任を負うか否かという論点との関係をいかに理解するか(同一論点の言い換えとみるか、先決問題対本問題として理解するか)に応じて、法律構成は異なり得る。法人格否認の問題について、これを実質法上の法律構成とは別に、抵触法上の問題として、その法律構成(単位法律関係、法性決定、連結点等)をどのように考えるか(法人従属法説、個別原因関係準拠法説他)等々、触れるべき論点は少なくない。法律構成のいかんにかかわらず、それぞれの根拠を示しつつ、準拠法決定の過程を段階を追って正確に説明することが求められる。
 設問3は、約定された支払通貨と異なる通貨での支払が認められるか否かの準拠法が何かを問う問題である。債権準拠法説と履行地法説との対立が知られているが、ここでも、どのような根拠に基づいて準拠法を決定するかを丁寧に説明することが期待される。

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